二つの涙
実習でのお話
これから話す患者さんはお二人ともがんの患者さんです。
まず一人目はもう治療法がないという女性の方でした。
彼女は70歳代くらい方で旦那さんと一緒に病院いらっしゃいました。
診察前に先生から患者さんがいらっしゃる前、旦那さんがいつもメモを取っていて、とても静かな方だと伺いました。
診察は全てスウェーデン 語で、何を言ってるかわかりませんでしたが、なんとなく先生がもう治療法はないと言ったのがわかりました。
そしてお二人は手を握りあい、見つめあって、旦那さんが涙を流しました。
手にはボロボロになったノートがありました。
これが旦那さんが今までの診察で初めて感情を出した時だそうです。
もちろん辛いのは患者さんだと思いますが、同時に愛する人を失う辛さに直面するご家族の辛さも感じました…
ボロボロのノートから伝わる奥さんへの愛情、それまで無表情だった旦那さんの顔が急に赤くなったとき、どれもとても辛くなるものでした…
次の患者さんは30歳くらいの方でした。
こちらもご夫婦で来院。
治療が成功しあとは地元の病院で経過観察だよと言われた瞬間、二人で手を取り合い涙を流してました。
同じ日にまた二つの涙。
全く意味の違うものでした。
正直始めのご夫婦の時はとても辛くて、悲しくなりました。
ですが同じ日にいいお知らせをできる患者さんもいてこういうのが支えになっていくのかなと思いました。